生前葬を行った人が亡くなった後。訃報連絡や葬儀はどうするべきか
近年はお葬式や死生観に関係する価値観が変化し、従来とは異なるお葬式を選択する人が増えています。一般的に、お葬式とは亡くなった後に近親者や関係者が故人の代わりに感謝をお伝えするためのイベントです。これに対して、生前葬ではお世話になった方々に対して本人が感謝を伝えます。生前葬を実施すればお葬式を済ませたことになりますが、本人が亡くなった後も訃報連絡や最低限の葬儀を行う必要があります。もしも家族や近親者の方が生前葬を実施する場合には、訃報連絡や葬儀のマナーについてを知っておくことが大切です。
結婚式に結婚式と披露宴があるように、葬儀にも葬儀と告別式があります。生前葬のコンセプトは、この葬儀と告別式の関係に当てはめると自然と明確になります。「生前葬」を考えるとき、通常、葬儀という宗教儀礼に拘る人は、自分の人生にけじめを付けて、人生をリセットしたいという強い希望が表われています。そして、宗教儀礼に拘らず、これまでの人生でお世話になった方々に感謝の気持を伝えること希望される人は、生前の「告別式」が当てはまるでしょう。
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生前葬を行った方が亡くなった場合にすべきこと
生前葬を行うとお葬式を済ませたことになりますが、実際に本人が亡くなった後に何もしなくても良いという訳ではありません。故人の遺言などで大規模なお葬式を実施しないとしても、最低限の葬儀を行う必要があります。
生前葬を行った方が亡くなった場合には、少なくとも火葬式を実施しなければなりません。これは法室で定められているので、埋葬をするために必要不可欠です。通夜や告別式を実施せずに火葬のみを行う方法は直葬と呼ばれ、葬儀業者に依頼をすることになります。火葬後は宗教・宗派や信条に応じて遺骨を埋葬するか、自然葬などを行います。ただし生前葬をした場合でも、改めて通常の方法で通夜や告別式を行うこともあるようです。
生前葬に参加した方々にたいしては、訃報の連絡や葬儀の方法・日程などについてを知らせる必要があるでしょう。もしも通常のお葬式(通夜や告別式)を行う場合には、改めて葬儀の案内を送る必要があります。
直葬を選択する場合の注意点とは
生前葬を選択する方の中には、亡くなった後に家族や関係者に負担をかけない直葬を希望するケースが多いようです。直葬は火葬のみのシンプルなお葬式なのでお葬式を行う遺族の方の負担が軽いというメリットがありますが、いくつか注意すべき点もあります。
故人や遺族の方が無宗教で散骨や自然葬などを希望する場合であれば、直葬でも問題はありません。遺骨を菩提寺のお墓に埋葬する場合は、お寺が定める方法で戒名を授与してもらったり、通夜と告別式を実施する必要があります。施設によってはしかるべき手順を踏まないと納骨を認めてもらえない場合があるので、事前に相談をするようにしましょう。
故人の希望で直葬や家族葬などの小規模なお葬式を実施する場合でも、事前に親戚やその他の関係者の理解を得ておく必要があります。生前葬はまだ一般的に広く認知された方法ではないので、火葬や納骨を済ませた後に親族間でトラブルが起こる恐れがあるからです。
生前葬をした場合の訃報連絡の注意点とは
生前葬を行った後にお葬式(一般葬)を行う場合は、通常の方法で訃報連絡で葬儀の案内をすることができます。一般葬を行わずに直葬・家族葬などのように関係者だけで少人数のお葬式を行う場合にも訃報連絡が必要ですが、連絡を受ける側の人の立場を考慮する必要があります。訃報連絡が単に亡くなったという内容だけであれば、知らせを受け取った側は何をすべきか迷ってしまうでしょう。仮に生前葬をしても、本人が亡くなった後に一般的なお葬式が行われるケースも少なくないからです。
もしも少人数のお葬式を行う場合は、家族葬なので参列をお願いするという意向を丁寧かつはっきりとお伝えする必要があるでしょう。香典や供物の扱いについても、辞退するのか受け取るのか明確にしておきます。火葬のみの直葬を行う場合は、葬儀を済ませた後に報告という形で訃報連絡を送ることができます。
いずれの場合も、葬儀に参加することができない相手の気持ちを考えて文面を作成するようにしましょう。
生前葬をした方の訃報連絡を受け取った場合の対応方法
もしも自分が誰かの生前葬に呼ばれて、その後に本人が亡くなったという知らせが届くというケースがあります。このような場合は、その時々の状況によって対応方法に違いがあるので注意が必要です。生前葬が行われた場合でも、亡くなった後に通常の方法で葬儀やお別れ会が実施されるケースがあるからです。少人数の家族葬が行われる場合も、故人と親しかった方が呼ばれることもあります。
生前葬を済ませた方の訃報連絡を受け取った際は、葬儀(一般葬やお別れ会)が行われるのかどうかチェックしましょう。家族葬が行われる場合は、自分は葬儀に呼ばれているかどうかを確認する必要があります。葬儀の辞退が求められている場合は、香典や供物を受け取ってもらえるかどうかも確認しましょう。
生前葬を実施した後に本人が自分の葬儀を行わないと公言していたとしても、遺族の方の意向により何らかの方法でお葬式が行うケースは少なくありません。そのため、訃報連絡が届いた場合には葬儀の有無や自分が呼ばれているのかどうかをきちんと確認する必要があります。
まとめ
死後に遺族や関係者に迷惑をかけないために生前葬を選択する方が増えていますが、亡くなった後に何もしなくても良いという訳ではありません。埋葬をするためには火葬式(直葬)を行う必要がありますし、少人数の家族葬を行うケースもあります。これらに加えて、生前葬に出席した方々には訃報連絡を送る必要もあります。訃報連絡の文面を作成する場合は、受け取る方の心情に配慮しつつ葬儀の有無や香典・供物の扱い方を明確にしておくことが大切です。