葬儀のイノベーションは受け入れられるか ミレニアル世代ならではの新しいサービス

葬儀というと通夜があり告別式があり、お坊さんがお経を唱えたりと決まった形というものがありました。ただ、最近は従来の形式にはとらわれない新サービスや新商品が登場してお葬式の形は変わりつつあります。

特にミレニアル世代と言われる1980年代から2000年代に生まれた世代は、これまでの価値観とは異なる世界観を持つと言われており葬儀の形も柔軟です。そこで、ここではミレニアル世代ならではの新しい葬儀の形を紹介しましょう。

賛否両論の「お坊さん便」とは?

葬儀は費用のかかるものです。ピークから2割ほど下がったと言われる現在ですら、費用の平均は約195万円と言います。現代の日本人は無宗教の人が増えており、葬儀にここまでお金を出すことを疑問に思う人も増えてきました。そのため、葬儀費用の価格破壊は大きなトレンドの一つです。一般的なものでいえば、通夜を行わない一日葬や自宅で行う自宅葬は価格が抑えられるので人気の形式です。直葬は通夜と告別式を行わないもっともリーズナブルなプランとなります。一日葬や自宅葬なら相場は40万円から50万円、直葬なら相場は30万円ほどです。

最近、注目を集めたのはお坊さん便というサービスです。これはアマゾンが始めたサービスで、法事に僧侶を手配します。僧侶に払うお布施は5万円から15万円が相場ですが、3万円ほどで利用できます。お坊さん便は全日本仏教会がサービス停止を求めるなど賛否両論となりましたが、利用者数は右肩上がりに増えているそうです。

故人を新しい形で偲ぶ「感動葬儀」

故人を新しい形で偲ぶ「感動葬儀」

葬儀はお金をかけないことがトレンドの一つですが、それは故人を想う気持ちが少なくなっているわけではありません。葬儀は現代人には馴染み難いので、自分たちのスタイルに合わせたものが登場しています。そのひとつの形が「感動葬儀」と呼ばれるものです。お葬式というとしめやかに行われるものというイメージがありますが、感動葬儀は悲しみの涙もありますがもっと感情豊かで喜びや笑いもあるような形式と言えます。

ひとつ例を紹介すれば色とりどりの花々が並んでおり、服装もセミフォーマル、入り口にはウェルカムボードが立っています。ミュージシャンを呼んで小規模なフェスやライブのように音楽が流れているお葬式もあるようです。さらに終活の一貫として「生前葬」という形式も定着してきました。生きている間にお世話になった人に感謝の気持ちやこれからのことを話す機会を設ける人は多く、現代ならではの死の見つめ方と言えるでしょう。

お墓のVRとAIスピーカーによる新しい形

日本は土地が狭く、都市部に住む人にとってお墓を確保するのは難しいという問題がありました。そこでVR(ヴァーチャルリアリティ)を利用したお墓を提供する企業があります。ネット霊園と言われており、お墓を仮想空間上に登録します。利用方法は、ホームページやSNSに投稿するように画像や文章などを登録すればいいので簡単です。

新型コロナの流行により帰省が難しくなった現在、新しい形に対応したお墓参りの仕組みも登場しました。WEBカメラを設置して、自宅にいながら参拝できるサービスです。参拝のボタンを押すことで位牌が表示され、読経をクリックすると住職がお経をよんでくれます。IT化は葬儀でも利用されており、最近注目されたのがAIスピーカーによる僧侶手配です。SiriやアレクサのようなAIアシスタントが法話などを行ってくれます。僧侶の手配を頼めば、本物のお坊さんを呼ぶこともできてお坊さん便に似ているサービスです。

もはやSFの世界?「宇宙葬」とは

日本は亡くなると火葬され骨壷に納められますが、海外では土葬や海に遺灰をまいたりと様々なスタイルで行われます。そのなかでもっとも壮大なスケールなのが宇宙葬です。これは故人の遺灰をカプセルに入れてロケットを打ち上げ、人工衛星にそのカプセルを載せるサービスです。民間宇宙事業が盛んなアメリカで始まりました。

日本でも米企業と提携した会社が宇宙葬を始めています。2014年からサービスが展開されており、価格は約45万円とそれほどかかりません。これからはNASAと協力して月面に遺灰を持っていく計画もあるそうです。ミレニアル世代とその親の世代は、親の世代が高度成長期を過ごしアポロ計画や万博などで宇宙に憧れをもった世代と言えます。子の世代もハリウッド映画やSFアニメなどで宇宙に対する憧れは強いです。宇宙葬はこうした夢を叶える葬儀と言えて、壮大なスケールでありながらお金を出す価値は十分にあるものと言えるでしょう。

まとめ

ここまで新しい葬儀の形を紹介してきました。どれもユニークなもので、最新のテクノロジーが投入されていることも分かったでしょう。もともとお葬式とは故人を偲ぶために行われるもので、葬儀はそのひとつの形式に過ぎません。大切なのは故人や遺族が納得できる形にすることです。そのために今までにない新しい試みをするのは、なんら罰当たりではないでしょう。様々な選択肢ができているので、予算の都合ややりたい形式があればぜひ検討してみてください。

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