霊柩車の歴史と人気の車種を解説!起源はあの国だった

ときおり見かける霊柩車は、亡くなった方の遺体を移動させるために用いられる専用車です。日本だけでなく世界各国で活躍している霊柩車はそれぞれの国の文化ごとに様々な違いがあり、そのスタイルはまさに千差万別。そんな誰もが知っている霊柩車にはどのような歴史があるのでしょうか。国ごとの違いや特徴、人気を集める車種やスタイルなど、霊柩車にまつわる謎を解明していきたいと思います。

霊柩馬車から始まった!霊柩車の歴史

霊柩車の起源は、イギリスのスコットランド地方にあると考えられています。1840年代に入ると民間の共同墓地が利用されるようになり、それに合わせて遺体の葬送が必要になりました。遺体を扱うには公衆衛生への配慮が必要であることから、誰もが利用できる規格化された方法として霊柩車が生まれたのです。

1840年代といえば、フランス人発明家ニコラ・ジョセフ・キュニョーによって蒸気で走る車が発明されるより40年ほど古い話であるため、自動車などは存在しません。そこでスコットランドでは霊柩”馬車”が活躍するようになりました。それまでは水平にした梯子の上に棺を乗せて運ぶ梯子葬列や複数人で棺を肩まで担いで運ぶ肩葬列が一般的だったのですが、この頃からは馬車に乗せた棺を中心に、遺族や関係者が生前の思い出を胸に民間共同墓地へ向かうようになりました。これが霊柩車の歴史の始まりです。

現在では自動車が葬送の主流となりましたが、伝統を重んじるイギリスでは霊柩馬車での葬送が見直されつつあります。

最近見かけなくなった宮型霊柩車とは

かつて日本では、遺体を納めた棺を輿に乗せ、複数人で持ち上げ肩で支えながら葬送していました。その後は米俵などを運ぶために使われていた大八車が使われるようになり、宮型霊柩車の特徴ともなる破風スタイルが取り付けられたと考えられています。

自動車が登場すると、トラックの架台に輿を載せるようになり、次第に車と輿が一体化した宮型霊柩車に代わりました。この宮型霊柩車にはベースグレードの二方とグレードの高い四方があるのをご存知でしょうか?
一般的な二方は前後だけに破風を備えていますが、上位グレードである四方になると前後左右のそれぞれに破風を備えているため、より荘厳かつ威厳を感じられる見た目になっています。特に四方破風は特大の龍の装飾が飾られ、金細工や前後左右にも細かい彫刻が施されているなどもはや芸術品と言っていいレベルに達しています。また輿の中にも様々な彫刻が施されており、棺の出し入れしやすいようなトレーも装着されています。
ですが、最近では欧米でよく見られる洋型霊柩車が主流になりつつあるため、これらの宮型霊柩車を見かけることも少なくなりました。このような霊柩車は緑ナンバーをつけることが一般的です。

どれが人気!?霊柩車の車種

どれが人気!?霊柩車の車種

現在では、以前までよく見かけていた宮型霊柩車に代わって洋型霊柩車が主流となり、全国各地の葬送に活躍しています。

洋型霊柩車は文字通り欧米スタイルを採用したものであり、見た目がシンプルかつスマートなのが特徴で、注意して見ていなければ道路を走っていても霊柩車だと気づかないことも珍しくありません。

洋型霊柩車が主流になったのは価値観の多様化が背景にあると考えられます。
たとえば宮型霊柩車は目立つ点や仏教や神道式の葬儀以外では使えないこと、あまりに霊柩車然としているため忌避されるようになった、また自治体が管理する火葬場の規制により葬儀社が扱いを取りやめた、などが洋型霊柩車が選ばれるようになった理由とされています。
この他にも平成21年(2009年)以降の製造車に義務付けられた保安基準に、宮型の特徴である「外装突起規制」がかけられたため、新造できない状態になったことも加えられます。

様々な理由から見かけなくなった宮型霊柩車ですが、2009年以前に作られた車が現在でも活躍する他、モンゴルを始めとしたアジアの仏教国へ「走る寺」として輸出される事例が増えています。さらに世界のカーコレクターの中には日本独自の宮型霊柩車を購入する方がいるなど、その芸術性や独自性は世界へと知られるようになりました。

バス型霊柩車も活躍している!

バスを改造した霊柩車も増えつつあります。主にマイクロバスや観光バスのトランクルームに棺を納めるスペースを設けており、遺族や関係者など多人数を同時に火葬場へ葬送することができます。

特に豪雪地帯であり葬儀会場葬が一般的な北海道で主流になっており、車列を組むことなく移動できるというメリットから利用されるようになりました。このようなバス型霊柩車は、緑ナンバー以外はどこから見ても霊柩車だと判断するのは難しいほどです。

この他にもミニバンやステーションワゴンを改造したバン型霊柩車もあります。バン型霊柩車は、葬儀場への葬送だけでなく病院から自宅へ、自宅から葬儀会場へ移動させるために利用されており、ベースとなる車両のスペースが広く、改造コストも安いという特徴をもちます。

このように、日本各地で特性や需要に応じて様々な霊柩車が利用されるようになってきました。
最近では自宅から葬儀会場へ葬送するときは寝台車や搬送車と呼ぶなど、霊柩車という言葉を使わないことも増えているようです。

まとめ

ここまで、霊柩車の歴史や人気の車種などについて紹介してきました。スコットランドを起源とする霊柩車は、遺体の葬送という重要な役割を担っており、社会に欠かせない存在です。

日本では、様々な事情から主流であった宮型から洋型へと代わるなど時代によって変化しており、いずれも緑ナンバーで見分けることができます。北海道を始めとして気候の厳しい地域ではマイクロバスや観光バスを改造したバス型霊柩車が考案されるなど、地域特性も反映した霊柩車が活躍しているようです。

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